2012.2.10

NPO法人ブラストビート(東京都新宿区)

 

法人設立:2010年9月


高校生、大学生などがチームを編成、音楽ライブイベントを企画・運営するプログラムで起業・経営と社会貢献を実感できる場を提供。メンターとしてチームに関わる社会人にも学びとなるねらいも。東京を中心に京都、沖縄などでも展開。

 

お話 :ブラストビート事務局 神代 伸一氏

取材日: 2011/1/11

活動を広めてゆきたい、と願うからこそ、団体としてのステップアップとして

認定NPO法人格の取得をプラスと考える

 

 

 

▼どのようなきっかけで「認定NPO法人」になることを意識しはじめましたか?

我々の場合、活動を立ち上げた時からその気持ちがありました。活動を全国に広める、団体を大きくしていく事を前提としていましたので、そのステップとして認定は自然に視野に入ってきました。新寄付税制の施行からは、キャンペーンとして「認定目指すので3000円以上の寄付をください」と明言しはじめ、同時に名簿作成など申請に必要になるところを意識して活動しています。

 

▼「認定NPO法人」取得にどのような効果を期待していますか

寄付者に対する税制優遇ももちろんですが、「社会的信用を得る」という部分でも、活動を大きく後押しすると考えています。
現状、寄付は個人からのものが主ですが、活動を広めるうえで企業・団体に向けてのファンドレイジングも今後の課題として挙がっていますので、税制優遇、社会的信用の両面から、なるべく早くかなえたいところです。
個人、法人どちらに向けても言えることですが、より多くの寄附をいただきたいのであれば、「寄附をしやすい状況、環境の整備」は、寄附いただく側、つまり私たちの義務であると思っていますので。

絶対基準値「3000円☓100人」の寄付が欲しいです、と

支援者のみなさまにはっきり伝えること

 

 

 

▼パブリック・サポート・テストは「絶対値」「相対値」どちらで準備をしていますか?

3000円×100人の基準で進めています。

 

▼ちなみに、これまでの「相対値基準」での申請は考えられましたか?

相対値基準は…厳密に計算等をしたわけではないのですが、計算の手間もありますし、寄付者100人以上集めよう、という【明確な目標】があるほうが皆様にも寄付もお願いしやすいと感じましたので、完全にこちらだな、と。

100人という設定値がとっつきやすいですし、「あと10人で、私たちは次のステージに進めるのです!」というアピールも可能になります。 それに、寄付に対する意識の高い方々には、新制度の要である「3000円×100人」というキャッチフレーズをご存知の方がいらっしゃる。そういった方に対して腑に落ちる、心に響きやすいファンドレイジングをしたいという部分でも、やるなら絶対値基準ですね。

 

▼「認定NPO法人取得の為」をはっきり言葉にしてアピールなさっていますね。

はい、具体的に“認定を取るための”寄付が欲しいです、と明言したキャンペーンですイベントでも「認定NPO法人になりたいんです、3000円以上の寄付をください!」とはっきり言葉にして呼びかけていますよ。

ブラストビートはNPO法人としての認証の時期の関係もあり、この2011年度末までの2期を実績判定期間とすれば、150人以下で申請できる計算(一年目が短くなる為)だったのですが、残念ながら力不足で基準を満たせませんでした。

しかし、なるべく早くの認定申請を目指し、2012年も引き続き尽力します。

 

 「○○のために寄付をください」と具体的なアピールをする事は大事だと思うのです。その金額にはどのような目的がある、意味がある、という要素はあるに越したことはない。「認定をとるために」も、ひとつの要素として声に出せるものと考えています。

 

【仮認定】からのスタートも検討中

そのために越えなければならない“その他の要件”は

 

 

 

▼「仮認定」での申請はお考えですか?

「仮認定」も視野にいれて検討中です。仮でもなっておけば優遇はつきますので。ちなみに2012年内に仮認定をとれたとしても、本認定申請を目指して動いていきます。

 

▼仮認定に必要な“PST以外の各種要件”についての対応状況はいかがでしょう

我々の場合は引っかかるところがもともと少ないかと思います。役員構成比率もクリアしていますし、事業内容も煩雑ではないので「特定のものに利益を与えていない」点なども整理しやすい。

一点だけ気になるのは、我々の事業ではイベントが売上の上がる活動なので、それが収益事業とみなされないか、気にはしています。イベントの運営自体が教育効果の核の部分なのですが・・・。幸い、ビジネス経験の豊富な仲間や、会計士もいますので、きちんと書類をつくって確実にクリアしていきたいと思います。

 

▼その他に、現状において申請までのハードルになりそうな箇所はありますか?

仮認定にしろ本認定にしろ、実際に申請するとなると「事務処理能力」、つまり帳簿管理、書類作成等のマンパワーの部分が一番の懸念事項ですね。

現在の事務局体制だと専従の会計担当がおりませんので、もし申請段階で「☓☓に問題があります、差し戻しますので修正してください」等の対応を求められた場合や、認定取得後の書類・帳簿の管理などを即時・適時に対応できるのか、という問題です。

 

「自分たちの活動をより社会に広げる為に、

 一緒に認定取得を目指してがんばってみませんか」

 

 

 

▼これから認定取得を目指そう!という方々へのメッセージをいただきたいのですが。

我々の問題としても、認定の取得は簡単なことではなく、手間と感じることもあるのが正直なところです。  

しかし、このハードルを超えるプロセスで、法人経営のレベル、クオリティを確実に上げられますし、団体の発展にそのまま繋がるのではないかと感じています。PSTにしても、100人集めなくちゃいけない、その為の広報戦略・経営戦略を考える。結果として資金集めに強くなれる。実際に100人以上集められたら収入もそれだけ上がるわけで、法人にとって損になることはない。それが本来「経営者の考え方」だと思うのです。 

我々は今のうちに法人の中身をきちんとしておきたいし、活動を広めるための力もつけたい。このハードルを“うまく利用してやろう”くらいの感覚で、認定NPO法人取得を考えています。

 

 「100人集めるのが面倒くさい、大変だ」という考え方でなく、「100人集めるため、もっと多くの人にアプローチしなければならない理由が出来た、もっと広報も見せ方も高めていこう」というふうに考えてはどうでしょうか。

他の団体の皆様とは、認定になる・ならない という問題と同時に、“自分たちの活動をより社会に広げる為に”、一緒に認定取得を目指してがんばってみませんか、という考え方で何か協働できるといいなと思っています。

 

― ご協力ありがとうございました!