Q : 申請書類堤出から「認定」まで、どのくらいの時間がかかるの?
A : 実情では、およそ6ヶ月程かかる事例が多いようです。
認定・仮認定の審査は「書面審査」と「実地調査(現地確認)」の2段階で行われます。所轄庁によって、多少ばらつきはありますが、申請から認定まで、だいたい6ヶ月くらいかかるとお考えください。
Q : 仮認定と認定‥最初は「仮認定」をとっておくべきですか?
A : 申請できそうなら「認定」を直接目指すべきです。
パブリック・サポート・テスト(PST)を満たす見込みがあるなら、最初から認定をおすすめします。個人・法人の寄附者に対する優遇だけでなく、相続税の非課税の適用、また自分たちにとっても「みなし寄付制度」が使えます。
PST(3000円×100人か、寄付が20%以上のいずれか)をクリアできそうなら、迷わず認定に!
Q : 認定NPO法人の準備で、ここは気をつけて!というポイントは?
A :PST以外にも見落としがちなポイントが。
要注意なのは「役員の3分の1基準」と「法令に反していないか基準」。
「役員~」は、他の会社や団体の役員・従業員を兼任している人が3分の1以上いないか今すぐ確認してください。これは特定の人が組織を支配していないかチェックするための基準です。もし3分の1以上いるようなら、総会で役員の増員をするなどして基準をクリアしましょう。
「法令~」は、「NPO法や団体の定款を守っていない」といったものから、登記や税務・労務などで問題があるという事例がたいへん多いためです。日頃からの適正な運営を心がけましょう。
Q :認定NPO法人に寄付したら、年末にお金が帰ってくるんですよね?
A: 「払うべき税金が安くなる」制度ですので、現金が返ってくるのは“源泉徴収で払い過ぎていた人”だけです。
寄付した方全員に必ずしも現金が帰ってくるというわけではありません。手元に現金で変換されるのは、例えばサラリーマン等が月々に源泉徴収で当年度の所得税を収めているものに対し、控除金額を差し引いた結果 「払い過ぎていた」状態が発生した時だけです。
Q : 3000円×100人基準は、認定の後もずっと満たしていないとダメなの?
A : 5年後の「更新」に向けた準備は必要です。
認定NPO法人は [5年ごとの更新制] です。パブリックサポートテスト(PST)についても、更新手続き時に過去5事業年度の平均値でクリアが求められますので、準備が必要です。ただし、必ずしも初回の申請時と同じ基準である必要はないので、「絶対値→相対値」「相対値→条例個別指定」「条例個別指定→絶対値」などの基準の乗り換えも可能です。更新の時点で一番有利なものを選ぶことができます。
Q : 「寄附者名簿」 には何を記載しておけばよいのでしょうか?
A: 初回申請時に必ず必要です。以下の要領で必ず作成を。
「実績判定期間内の日を含む各事業年度の寄附者名簿」については、認定申請の際に必ず添付しなければなりません。
提出する寄附者名簿には、原則として、寄附者全員の「氏名又は名称」「住所又は事務所の所在地」「寄附金の額」「受領年月日」を記載する必要があります。ただし、匿名で行われた寄附や 1,000 円に満たない少額の寄附については、例えば、
「匿名寄附 ○口 計○○○○円」
「少額寄附 ○口 計○○○○円」
というように省略して記載しても差し支えありません。
Q : 認定NPO法人に寄付したら、必ずお金がもどってくるの?
A:あくまで「支払うべき税金」に対する「控除」です
必ずしも全ての方が控除を受けられるとは限りません。所得税にしろ住民税にしろ、どちらも税金が課せられている方への減税措置です。したがって、そもそも所得税や住民税がかかっていない方が寄付しても、減税するものがありませんので、控除は受けられません。
Q : 海外に住んでいる人が日本の認定NPO法人に寄付してもいいですか?その際に寄付金控除は受けられますか?
A:日本に収める税金がなければ、寄付金控除の対象にはなりません
海外在住の方が日本の認定NPO法人に寄付すること自体は、その国の法令等により禁止されていなければ問題無いはずです。しかし、寄付金控除の適用については、日本に税金を納めているわけではありませんので、通常は適用対象外となります。
Q : 「所得控除」と「税額控除」どちらか選べるということですが、実際、どちらがおトクなのですか?
A:多くのケースで「税額控除」が絶対おトク!
余程のことが無い限りは、税額控除を選択しておけば大丈夫でしょう。
例外としては「高額所得者が、高額の寄付をしたとき」が考えられます。所得税の最高税率=45%が適用されるような所得金額4,000万超の高額所得者が、税率の変更に関わるような額の寄付した場合などには、所得控除の方が有利になる場合がでてきます。
Q : 2,000円(控除下限額)以下の寄付では寄付金控除が使えないと聞きましたが本当ですか?
A:複数の寄付が行われ、その合計が2000円を超えていれば…
はい、ある意味では本当ですが、この点は非常に誤解が多いので注意が必要です。
ここで言う2,000円の控除下限額は、寄付者が1年間で寄付金控除対象法人へ寄付した「年間寄付金合計額」から差し引く意味ですので、非常に極端な例ですが、以下のような場合でも寄付金控除の対象となります。
■1年間で「100の認定NPO法人に、100円ずつを寄付」したとき
→合計金額は 10000円 なので 以下のようになります。
{(100円×100=10,000円:年間寄付金合計額)-2,000円(控除下限額)}
×40~50% =3,200円~4,000円(減税額)
Q : 個人住民税の寄付金税額控除も、所得税のように「還付」されるのですか?
A:手元に戻るのではなく「翌年の課税額からの減額」になります
いいえ、住民税は原則還付されません。所得税と異なり、住民税は翌年度に課税される仕組みのため、還付ではなく課せられる税額が減る形で減税されます。そのため、所得税に比べると、ややメリットが実感しにくくなっています。
Q :うちは収益事業しかやっていないのですが、この制度は使えますか?
A: 外部の団体の「非収益事業」への寄付ならば!
使える可能性はあります。みなし寄付金は厳しいですが、本サイト内「 みなし寄付金」制度を活用しよう」にも記載のとおり、外部への寄付金支出にも適用が可能ですので、検討してみてください。
Q :損金算入の特別枠を使うとき、何か特別な手続きは必要ですか?
A:「領収書」さえあれば、法人税の申告書上で記載さえすればOK!
寄付先の認定NPO法人等からの「領収書」以外には、特別な書類等を新たに用意する必要はありません。法人税の確定申告時に「第十四表(二)寄附金の損金算入に関する明細書」への記載が必要となります。
Q :NPOから法人宛に発行する寄付の領収書は「その都度、発行した方が良い」と聞きました。なぜでしょう?
A: 税制活用のための「申告」の時期が異なるかもしれません!
個人の場合は確定申告の期間はみな同じ(毎年3月)ですが、法人はそれぞれの事業年度(決算期)によって法人税の申告期限(事業年度終了後2ヶ月以内)が異なるからです。
このため、法人からの寄付については、その都度発行するのが良いと言われています。
Q :寄付先には遺贈や相続財産寄付であることを伝えないとダメですか?
A: 領収書をいただくために、一言添えたほうがいいかも。
相続財産寄付の非課税措置を受ける場合、制度的には、「寄付先への申告」は義務ではありません。
しかし、申請の際に寄付先の認定NPO法人の「領収書」を添えなければなりません。申請には期限(10か月以内)がありますので、寄付先の団体に、相続財産寄付であること伝え、速やかに領収書を送ってもらうようお願いしたほうがよいでしょう。
Q :遺贈・相続財産寄付は、一般的には、どのようなきっかけで行われるものなのでしょう。
A: 以下の2つのパターンがあると考えています。
きっかけで整理すると「直接型」「間接型」の2つの場合に分けられます。
「直接型」は、従来からの会員や寄付者の方などが、遺贈や相続財産寄付をするパターン。遺贈の場合・本人が相続財産寄付の場合は、相続人が寄付以前から団体の関係者だった事例が多いです。
遺贈の場合は団体を個別指定した遺言があり、専門家が関与していないケースもあります。間接型と比較して、少額から事例があります。
もうひとつは「間接型」。これまで直接の接点は無かった方から、仲介者(遺言執行者等)を経由して寄付されるパターンです。主に遺贈の際に、寄付先団体が指定されていなかった場合が多く、1次~3次の仲介者を介して寄付が実現しています。多くの場合で弁護士や税理士、信託銀行などの専門家が寄付先のに関与しています。
Q :みなし寄付金はどんな認定NPO法人でも使えるのですか?
A: 税法上の「収益事業」を実施している認定NPO法人のみです。
法人税法上の収益事業(33種類)を実施している認定NPO法人のみです。法人税の減税措置ですので、個人の寄付金控除と同様に、そもそも法人税が課せられていない法人には減税するものがありませんので、使えないことになります。
Q :「みなし寄付金」を使ったら、活動計算書等にも記載は必要ですか?
A: 制度的には、特別な記載は必要なし。帳簿上の区分に注意
基本的には必要ありません。ただし、「その他の事業」かつ「収益事業」を行っている場合は、活動計算書上の「経理区分振替額」がみなし寄付金に相当する場合もあります。また、自主的に勘定科目を設けて記載している団体もあるようです。